弁護士鶴見京介シリーズの12冊目。 鶴見京介は、著名な作家・諸岡恭平を包丁で刺殺したとして逮捕された女性・河合しずかの弁護人になった。警察は、不倫の末の犯行と見立てたが、しずかは殺害は認めながらも不倫は否定し、諸岡との関係を黙秘した。 京介…
北森優一は、国家一種合格のキャリア組として警視庁に入庁した。優一の父親の衆議院議員・敦史は、日米地位協定の改定と日米合同委員会の解体を目指していた。そのため、敦史は大臣官房や検察庁、警察上層部から敵視され、息子の優一は警視庁の中では疎まし…
「EV」は、Electric Vehicleの略称で、電気自動車のこと。 この小説では、ガソリンの自動車をEVに切り替えると、どんなことが起こるかを教えてくれた。 今の自動車社会では、自動車を動かすためにガソリンが必要になる。ガソリンを給油で…
「紙鑑定士の事件ファイル」の第2弾。前作同様に紙・フィギュア・模型などさまざまなテーマを織り込んだ短編集。 <目次> FILE:01 猫と子供の円舞曲 紙粘土に似た石粉粘土をぶつけられて片目を失明したり、怪我をした猫がいた。小学3年生の古戸梨…
特許権を盾に企業から巨額の賠償金をふんだくっていた弁理士・大鳳未来は、今は反対に、特許権の侵害を警告された企業を守ることを専門にしたミスルトウ特許法律事務所を開設していた。 宮城県の久郷町は、震災の後500人ほどの人口になってしまった。 震…
これは、中山七里氏と知念実希人氏と葉真中顕氏(先輩作家)から、新人作家さんやこれから小説家になろうと考えている人たちに対して、自身の経験や思いを述べた贈る言葉、エッセイ集だった。 「小説」と「エッセイ」の違いが、良く分からなかったので調べて…
これは、立倉市の市役所の3階会議室で開設された「2020心の相談室」でのストーリーだ。心の相談室では、若いが経験豊富な臨床心理士の”晴川あかり”と、学校教員を退職後に大学に入り直して認定心理士の資格を取った”正木昭三”の二人でカウンセリングを…
前作の「教場」シリーズは、読んでいて暗い、重たいと感じることが多かったが、この「新教場」では、重たいと感じさせるところは無かった。 指導官の風間公親は、”千枚通し”の異名を取る十崎(とざき)という犯罪者に狙われているため、本部長の意向で異動に…
自衛隊員の吉良恭太郎と加成屋輪は、多くのものが脱落するレンジャーの特技の訓練に耐え抜き、レンジャー徽章を獲得した。訓練を終えて隊に帰還した二人は、休暇を取得し外出する。 吉良が銀行に立ち寄ったとき、銀行に止められた現金輸送車を襲う強盗団に遭…
これは、1000年以上昔の長野県の戸隠、鬼無里(きなさ・現、長野市)、別所温泉などに伝わる鬼女にまつわる鬼女紅葉伝説をもとにした物語。 40数年前に両目の赤い母子が、山の中を必死に逃げていた。追手に追いつかれ、母親は殺され、子どもは逃げおお…
「脱走ヤギは働きヤギに変身し、逃げ出した子モモンガは自ら”お縄”になり、砂丘のスナガニは求愛ダンスで宙を舞う・・・・・」 表紙にある言葉だが、この本は研究論文でもなく、小説でもなく、講義でもなく、大学で学生たちに普段話している調子で書かれたも…
中国武漢でコロナウイルスが発症し世界中に蔓延しだしたのが2019年。それよりも3年も早く、まるで予見したかのような小説が2016年(平成28年)に出版されていた。 中央アフリカ、タンザニアにある古代遺跡の調査をしていた世界的考古学者のウイリ…
これは、当時20代だった紗倉まなが書いた、野間文芸新人賞の候補に挙がった小説だ。20代の紗倉まなが、老人の日常や性について書いているがよく考えついたものだと思った。 タイトルの「春、死なん」は作中にも紹介されているが、西行法師が詠んだ句の『…
心霊探偵八雲シリーズの第6作目。 斉藤一心の高校時代の友人の新井医師が勤務する病院に幽霊が出るという。その幽霊に追い詰められて、人が死んでいるという。一心に伴われて、八雲と晴香が件の病院を訪れ、病院関係者に聞き取りをし、現場を確認した。病院…
殺人を含めた犯罪も、時の政権や権力者にとって都合が悪い場合、無かったことにされる。つまり揉み消されるということがあると、様々な小説の中で書かれているが実際はどうなんだろう。有ってはならないことだと思う。しかし、つい最近も公文書を黒塗りにし…
神保町で紙鑑定士事務所を営む渡部圭は、どんな紙でも見分けられる。そんな事務所へ美容師の米良杏璃が「鑑定」を「探偵」と勘違いし、「彼氏の浮気調査をして欲しい」と鑑定事務所を訪ねてきた。 疑うのは、「1つ目は、男ばかりの職場で塗装工として働いて…
安達竜星や元警察官の楢山らの活躍により、前山・松山エリアに根を張っていた暴力団座間味組を壊滅状態に追い込み、渡久地巌を刑務所送りにし、沖縄随一の歓楽街松山に平和が戻ってきた。そん中、友人の真昌は警察間の採用試験に向け、また、竜星は進学のた…
これは、好みの女とみれば直ぐにメロメロになり、また、何も先のことを考えることもなく、ただ漫然とその日暮らしを続けるダメで馬鹿な男の物語だった。このダメ男が女性がらみで殺人事件に巻き込まれる。そのダメ男を助けるために、皆が振り向くほどの美人…
コロナの収束の兆しが見えてきたところに、エボラウイルスよりも毒性と致死率の高い未知のウイルスが発生した。 コロナ禍においてアメリカ疾病予防管理センター(CDC)で顧問として働き、ニューヨークのコロナ対策に尽力した遺伝子工学の研究者カール・バ…
これは、学校の中でいじめに遭っても誰も助けようとしない、担任も見て見ぬふりする、そんなクラスも学校も嫌で、そんな人間たちが就職するこの国が嫌になった一人の女子高生が、イスラム国の兵士募集に応募したことが原因で起こった悲劇の物語だと私には思…
園部信一郎は、14歳の時に近所の幼女を誘拐しバラバラにして地域に置いたという猟奇殺人を犯していた。少年法に守られ、殺人罪が適用されずに少年院に収監となった。更生し院を出たあと、名前を御子柴礼司と変え、司法試験に合格し「御子柴法律事務所」を…
幼い頃から幽霊や妖怪が見える時町見初が就職した、妖怪や神様が泊まりに来る不思議なホテル「ホテル櫻葉」。女将の永遠子と恋人で陰陽師の家系に生まれた冬緒とが、妖怪や神様や人間が持ち込む様々な悩み事を解決していく物語の13作目。全シリーズ読んで…
最後まで読めば分かるが、タイトルの「名探偵のままでいて」は主人公の祖父に対しての想いを表している。6編に分かれた推理小説だ。 主人公は、小学校に勤める楓。一人でマンションに住んでいる楓には、レビー小体型認知症(DBL)に罹っている祖父がいる…
先カンブリア時代から現在までの生物、特に化石になった「古生物」について、イラストを豊富に使って解説している。古生物の本は何冊読んでも、なかなか頭の中で整理できないので、簡単にまとめてみた。中生代に生きていたモササウルスは、魚類だと思ってい…
主人公は安達竜星。空手の天性の素質を持つ若者だ。 竜星の母親・紗由美の人材派遣の会社で、システム開発を依頼していたオプテクの社員芦田の失踪事件が起こった。芦田は、デリヘル嬢のリナに入れ込み恋仲になり、秘かに沖縄から連れ出そうとした。しかし、…
題名の「七」は数の多いことを表し、「四十八」も相撲でいう四十八手のように十分に多いということを表す。つまり、癖が無いように見える人でも何かしらの癖があるもので、癖があると人ならば、なおさら多くの癖があるものだということを表している。 主人公…
「松雪先生は空を飛んだ」という題名と自転車に乗って浮き上がっているような表紙のイラストから、飛行機制作の話か、空飛ぶ自動車でも発明する話かなと思って読んでみたが、そうではなかった。 松雪先生と奥さんの晴子さんが運営する学習塾で、先生から選ば…
倒幕軍に対し、佐幕が奮闘しているときに、将軍慶喜の2度に亘る逃走で、260年続いた江戸幕府は崩壊した。慶喜は大政奉還し、維新後も華族として生きた。 こうした激動の中で、多くの藩が時代に即応できず混乱を来たし、お家存亡の危機に陥った殿様と藩士…
八雲の出生の秘密と晴香と八雲の浅からぬ縁が明らかになる。 前作の冒頭に記述されていた宮川刑事が遭遇した殺人事件と後藤刑事を刺した八雲の姉と名乗った精神科医が、今作品で繋がった。 15年前、ある屋敷で起きた娘を除いて祖父母と父母が惨殺され、娘…
小沢晴香が教育実習生として赴任したとある小学校で、幽霊が見えるという少年・大森真人と出会った。真人は「自分は呪われている」といい、人と関わろうとしない。 そんな真人と晴香は自分を重ねてしまい、相談の為に斉藤八雲の下を訪れた。昔、火事で焼け死…