これは、中山七里氏と知念実希人氏と葉真中顕氏(先輩作家)から、新人作家さんやこれから小説家になろうと考えている人たちに対して、自身の経験や思いを述べた贈る言葉、エッセイ集だった。
「小説」と「エッセイ」の違いが、良く分からなかったので調べてみた。
「小説」は、物語の主人公が体験する架空の話で、人間の生き方や社会へのメッセージを伝える表現方法、フィクションともいえる。
「エッセイ」は、自分の体験したことや考えを文章で書き綴ったもの、ノンフィクション、随筆ともいえる。
<目次>
1.作家と新人賞
2.作家とお金
3.作家と映像化
4.作家と執筆スタイル
5.作家と編集者
6.作家とインプット
7.作家とSNS
8.作家と戦略
9.作家と文学賞
10. 作家と営業
特別鼎談
賞が取れるに越したことは無いが、「〇〇賞」を目指して書くのか、それとも、読者に喜んでもらうことを目指して書くのかで、書く姿勢が変わってくるそうだ。賞は結果として与えられるというほうが良いと3人が一様に述べている。
「芥川賞」や「直木賞」などの賞の選考委員は、ベテランの作家たちで、読み手、すなわち読者ではない。専門家受けする本を書くのか、大衆・読者が読みたいと思う本を書くのかという違いだ。
名誉か、実利(売り上げ)か。両方が得られるに越したことは無いけれど、現実問題としては難しいらしい。3人とも実利が欲しいとのこと。
新人作家が5年後に生き残れるのは、10人に1人というほど厳しいらしい。だから、賞を取っても、その後、3作目、4作目とヒットし続けられるかどうか(賞を取ると3作目までは、本にしてもらえるらしい)が大切。
だから、中山氏と知念氏は、1年に3~4冊執筆するという量産体制で取り組んでいるとのこと。1~2年、新作が出ないと世間から忘れられる。ベストセラー作家と言われていても、書かないと消えていったらしい。
小説を生業にしている人たちの業界は、大変な世界のようだ。
原稿料が、1枚3000円~5000円。500枚の原稿だと、『3000円×500枚ー税金』が収入になる。これに、本の部数(売上)分『例えば単行本 1600円×1万部×10%ー税金』が収入になるらしい(初版が1万部の場合)。
文庫本になると1冊700円くらい(3000部くらいからスタートらしい)だから、余程でないと小説一本で生活していくのは難しいようだ。
新人には、賞が取れても、仕事は辞めないようにといってるとのこと。
知念氏は最初持ち込んだ出版社から、2作目の原稿を読んでもらえずに没になっていた。別の出版社が取り上げてくれて今になっているとのこと。取り上げてくれた出版社を大切にしているとのこと。
忘れられることなく、また、心折れないでいるためには、ただひたすら書き続けることが大切(書ける人は良いと思うけど・・・・)。
SNSなどは、情報や知識を得るために利用するが、エゴサーチなどは見ない、気にしない(自分が傷つく方が多いから)。
中山氏、知念氏の小説はほとんど読んでいるが、大変だったんだなぁということが分かった。お三方には、これからも心を掴まれるような新作を期待したい。