これは、1000年以上昔の長野県の戸隠、鬼無里(きなさ・現、長野市)、別所温泉などに伝わる鬼女にまつわる鬼女紅葉伝説をもとにした物語。
40数年前に両目の赤い母子が、山の中を必死に逃げていた。追手に追いつかれ、母親は殺され、子どもは逃げおおせた。
殺された母親の霊が人に憑依し、我が子を探す。
小沢晴香が教育実習で受け持った児童の大森真人から「助けて」という手紙と心霊写真が送られてきた。晴香が心霊写真を斉藤八雲に見せているときに、「友達が、神隠しにあった」と真人から助けを求める電話もかかってきた。それを聞いた斉藤八雲は調査の為、晴香と書類整理の業務に飽きていた後藤刑事とともに長野に向かう。
一方、石井刑事のもとには宮川課長が、護送車の事故から行方不明になっている七瀬美雪の情報が持ち込まれた。
八雲は戸隠と鬼無里の境目に近い場所に、心霊写真に写っている杉の木を見つけ、その近くに埋められていた人骨を掘り出した。人骨は、40数年前に殺された女性のものだということが後で解る。
女性の霊に憑依された真人の友だち由美子は、行方不明になっていた。行方不明になって3日目に山中で由美子は発見されたが、今度は真人が憑依され、行方不明になる。
真人を探していく過程で、40数年前に女性を殺した犯人たちの正体が判明する。また、20数年前に殺されて木に吊るされていた二人が、その犯人だった。
八雲にとって、殺された母親は自分の祖母であり、行方不明の子どもは八雲を苦しめている両目が赤い謎の男だったことが分かった。また、その父親は既に亡くなっていた。しかし、霊となって、美雪や心が弱っている人を犯罪に引き込んでいた。