Trex70’s blog

特別支援教育士として、障害児の教育相談を2000組近く行い、引退後は、毎年200冊以上の本を分野に関係なく暇に任せて読んでいます。Trexはティラノサウルス・レックスのこと。大好きな恐竜です。

エンド・オブ・ライフ/著:佐々涼子

作者の「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」と「デフ・ヴォイス」を読んで、この本も読んでみようと手にとった。

「エンド・オブ・ライフ」とは、「人生の終末」。

健康な人から見た人生最期の時をどう迎えるかと、病に侵された人が人生の最期の時をどう迎えるか。人それぞれ考え方は異なる。

これは、終末期の患者がどういう医療を望むか、どのように家庭の中で過ごしたいのか、どんな風に最期の時を迎えたいのか、訪問医療を通し、患者と真っ正面から向き合い葛藤しつつ、患者本人と家族に寄り添い支え見送る京都の西加茂診療所の医師、看護師の思いを綴った本だ。この診療所は実在していた。

訪問医療というのは、決まった曜日・決まった時間に医師・看護師が家庭にやってきて必要な治療をして帰るだけと思っていた。しかし、西加茂診療所は、必要であればいつでも患者の所に駆け付ける。家族で行きたかった海に最後の思い出として行きたいと相談を受け、診療所のスタッフが海にも同行する。本当に寄り添っている。

今、介護施設はどこも人手不足の中でスタッフは懸命に働いている。

NHKの「お別れホスピス」も見ていて毎回涙が止まらないが、西加茂診療所のような施設や看護師や介護士がいるなんて奇跡のように思える。

ひと様から見ると我儘と思える患者の思いを叶えてあげる医師や看護師や介護士。訪れる死に対する恐怖をいかに和らげ終末を迎えさせるか。

また、介護している側の一人が末期癌になっていたことが分かる。今までの介護の経験が活きるかと思うとそうではなく、終末期を迎える一人の人間とした姿が描かれている。

私は、私の両親のように二人ともが意識の無い状態で1年以上も生き続けたような死を迎えたくない。私自身も癌を患って、今まで以上に死を身近に考えるようになった。しかし、自身の中で癌を受け入れる5段階なんていうのは無い。死ぬときはどうあがいても死ぬ。できる限り、家族に負担をかけないで最期を迎えられたら良いと思っている。私が居なくなった後、家族が幸せに暮らせれば良いと思っている。

家で最期を迎えるというのは、金銭面、身体面、精神面で家族に大変な負担を強いることになると思う。それが家族にとって後から大切な時間になるという考え方もあると思うが、それよりも私は、家族が自分自身の時間を大切にできるようにあって欲しい。

 

横着物の私には難しいことだが、一日一日を有意に過ごせるように生きていきたいと思った。