題名の「七」は数の多いことを表し、「四十八」も相撲でいう四十八手のように十分に多いということを表す。つまり、癖が無いように見える人でも何かしらの癖があるもので、癖があると人ならば、なおさら多くの癖があるものだということを表している。
主人公の又兵衛は三回、おいせは一回離婚を経験している。
又兵衛には、離縁した妻との間に3人の息子と娘がいた。おいせは正式な妻ではなく、又兵衛の子どもたちの養育のために人別帳に籍も入れずに一緒に暮らしていた。又兵衛は隠居し家業を息子に譲り、おいせと息子の嫁の仲が悪くなる前に家を出て、おいせとともに日本橋堀留町で会所の管理人をしている。
世話好きの又兵衛とおいせは離縁の玄人と自称し、幼馴染の差配の孫右衛門と女房のお春も一緒に、ご近所の家族の幸せを願いながら町の揉め事を解決するために毎日のようにお節介を焼いている。
そんな二人の織り成す6編の人情噺だった。
<目次>
〇夫婦茶碗
〇ぼたん雪
〇どんつく
〇女丈夫
〇灸花(やいとばな)
〇高砂
4人の子持ちで飲んだくれの畳職人、こぶ新組の武家に嫁いだ大工の娘、父親を早く亡くし、幼い頃から見世(みせ)を支え切り盛りした口入屋の若お内儀。最後に、相続の事を考え、長年連れ添ってくれたおいせを人別帳に妻として届け出る。
それぞれ一話ごとに心温まる話で幸せな気分になった。