小沢晴香が教育実習生として赴任したとある小学校で、幽霊が見えるという少年・大森真人と出会った。真人は「自分は呪われている」といい、人と関わろうとしない。
そんな真人と晴香は自分を重ねてしまい、相談の為に斉藤八雲の下を訪れた。昔、火事で焼け死んだ子どもの幽霊がプールの辺りで出るという話も聞き、八雲は小学校に足を運んだ。そこで手首だけを残し、骨まで燃え尽きてしまった謎の焼死体を発見する。それは、原子爆弾が爆発したときに発生する3000~9000度の超高温で焼かれないと起こりえない異常な状態で、現場の状況からは人体自然発火現象としか考えられないような焼え方をしていた。この事件は、幽霊騒ぎの原因となった25年前の小学校の体育倉庫で火災で、一人の小学生が焼け死んだことに端を発していた。プールは、昔、体育倉庫があった場所で、八雲に幽霊が焼死体を教えた。
精神鑑定を受けていた殺人犯が、刑事が4人も見張っていた精神科医のところから逃走し、焼死体で発見された。小学校の事件と警察内部の事件が、八雲と晴香の活躍でつなながっていく。
不倫をしていた晴香の実習先の担任。怪しい行動をする教頭。石井刑事を拘束し、後藤刑事を刺し、八雲の姉だと伝言を残して逃走した美人精神科医。
複雑にストーリーが展開し、八雲が謎を解いていく。
冒頭に、後藤刑事の上司・宮川が殺人事件に遭遇するが、この犯人が精神鑑定を受けていた殺人犯なのかの説明があったのか無かったのか分かりにくかった。また、精神科医が殺人犯を逃走させたり、石井刑事を拘束したり、後藤刑事を刺して行方を眩ませる理由が分からない。八雲に、姉っていたんだろうか。
今回は、幽霊や心霊現象はあまり触れず物足りなさはあったが、社会派ミステリー小説として面白かった。
<目次>
序章
第一章 発火
第二章 炎上
第三章 残火
その後