Trex70’s blog

特別支援教育士として、障害児の教育相談を2000組近く行い、引退後は、毎年200冊以上の本を分野に関係なく暇に任せて読んでいます。Trexはティラノサウルス・レックスのこと。大好きな恐竜です。

2023-01-01から1年間の記事一覧

あなたが誰かを殺した/著:東野圭吾

久しぶりに東野圭吾を読んでみた。 警視庁刑事部捜査第一課の加賀恭一郎シリーズの第11作目。 父親の最期を看取った病院の看護師金森登紀子の紹介で、鷲尾春那に長期休暇中だった恭一郎を引き合わせた。 春那はセレブが集う夏の別荘地で連続殺人事件の被害…

諸葛亮 上/著:宮城谷昌光

諸葛亮、すなわち諸葛孔明の話だ。 この本で一番驚かされたのは、孔明を軍略の天才のように扱っている映画や小説が多くあるが、軍略ではなく、行政の天才ということが分かった。 三国志に登場する曹操と孫権の「赤壁の戦い」は、映画の「レッド・クリフ」で…

ふるさと銀河線 軌道春秋/著:高田郁

「生きにくい時代です。辛いこと悲しいことが多く、幸福は遠すぎて、明日に希望を見出すことも難しいかも知れない。それでも、遠い遠い先にある幸福を信じていたい。あなたの明日に、優しい風が吹きますように。」と作者が登場人物たちに託した言葉と「あと…

脈動 /著:今野敏

警視庁生活安全部少年事件課巡査部長・富野輝彦、お祓い師の鬼道衆の鬼龍光一と奥州勢の安倍孝景、高校生で元妙道の池垣亜紀たちが活躍するシリーズ。 富野は、日本神話のアマテラスの直系の神武天皇に逆らったナガスネ彦(長髄彦)の末裔という設定でオカル…

エンジェルフライト 国際霊柩送還士/著者:佐々涼子

第10回開高健ノンフィクション賞受、賞作。 DVDで、米倉涼子が主演する「エンジェルフライト」を見て凄い話だと思い、もしかしてこれは原作があるのではと探し、この本を探して見つけることができた。 ENGEL FREIGHTは、「天使が運ぶように…

発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年/著:松永正訓

主治医の松永医師が、自閉症の息子・勇太くんを育てた母・立石美津子さんからの取材をノンフィクション小説として仕上げている。 勇太くんは出産前検診でダウン症の疑い有りと診断され、お母さんは悩んだ。生まれてみればダウン症ではなかったのでホッとされ…

百鬼園事件帖/著:三上延

700万部のベストセラー「ビブリア古書堂の事件手帖」の三上延の最新作。 何か変な話だなと思いながら読み進めていくと「怪談話」だった。 表題の「百鬼園事件帖」の「百鬼園」は、実在の小説家・内田百閒(本名:榮造)の「百鬼園随筆」から引用している…

ふたつの時間 ふたりの自分/著:柚月裕子

表紙の装画はGLAYのTERU。 柚月裕子が作家デビューしてから、日常生活から、創作の裏話までの15年間を綴ったエッセイ集。幼いころから父親の転勤で引っ越しを繰り返し友達がなかなか作れず、本が友達だった柚月氏の軌跡が辿れる。 <目次> 〇ふた…

動物園を100倍楽しむ!飼育員が教えるディープな話/著:大渕希郷

動物たちの意外な姿や、展示のこだわり、取り組んでいる課題など、動物園関係者が語るマニアックな話。 動物園に行く前に読んでおくとより楽しく過ごせる気がする。 <目次> 第1章 アメリカ大陸にすむなかま 1 有毛目アリクイ科 オオアリクイ 2 被甲目ア…

認知心理検察官の捜査ファイル② 名前のない被疑者/著:貴戸湊太

前作同様、家具や衣服を堅持事務室に持ち込んで住みついている大神祐介。大神は、心理学で被疑者の嘘を見破り口を割らせてきたエリート検事だ。その大神のもとで様々な事件を経験し成長していく検察事務官の朝比奈こころ。この二人のところに殺人事件の被疑…

奈良監獄から脱獄せよ/著:和泉桂

大正時代に無実の罪で監獄に収監された男たちの脱獄に至るまでの物語だった。 数学教師の弓削朋久が赴任した橘樹高等女学校は、良妻賢母を育てることを目標にし、校則も厳しく、友達同士で活動写真やカフェにも立ち寄ることが禁じられていた。そのためか、結…

君といた日の続き/著:辻堂ゆめ

すごく感動した小説だった。 小学生で亡くなった娘への思い。別れた妻への思い。もっと娘にしてあげることがあったのではないかという自分を責める気持ち。別れた妻の気持ちに気づけなかった自分。 「夫婦の愛、両親の娘への愛、様々な思いや温もり、悲しみ…

墨のゆらめき/著:三浦しをん

三浦しをんの本を久々に読んだ。三浦氏は女性の筈だが、読んでいると男性が書いたのではないかという気がしてきた。しかし、読み進めていく内に心のうちの表現は、やはり三浦氏のものだと感じた。ネットリもサラッともしすぎ、ほのぼのと表現されていると感…

子どもの嫌いな私のアパートに座敷童が住んでました/著:鈴森丹子

ファンタジー的な軽い内容かと思っていたら、まじめな物語だった。 ハウスメーカーに勤める東湖澪は子どもが苦手だった。澪は独身者ばかりのアパートで兎のビッケと悠々自適に暮らしていた筈だった。ところが両隣と真上の部屋の住人達が再婚などで急に赤ん坊…

隠居おてだま/著:西條奈加

老舗糸問屋の嶋屋元当主・徳兵衛は、還暦を機に身代を息子・吉郎兵衛に譲り、巣鴨村で隠居暮らしを始めた。ゆっくりと余生を送れると考えた徳兵衛のところに、孫の千代太が次から次と厄介ごとを持ち込んできた。 最初は犬、次いで仔猫、とうとう子供まで拾っ…

再雇用警察官⑥ 七色の行方不明/著:姉小路祐

シリーズの6冊目。 定年退職後の再雇用警察官安治川信繁と少年係から左遷された新月良美と、警務部から部下の公金横領の責任を取らされ降格となり消息対応室に室長として異動になった芝隆之の3人が、四天王寺署の倉庫の2階を間借りして、誘拐、拉致、監禁…

ラザロの迷宮/著:神永学

病のために死去したラザロが、布教から帰ってきたキリストによって墓の前で呼びかけられると復活したという「ラザロの復活」という話が、ヨハネの福音書にあるそうです。その後、蘇ったラザロがどうなったのかは分からないらしい。私は、キリスト者ではない…

魔女と過ごした七日間/著:東野圭吾

癌の手術をしてから、約2週間が経つ。手術前にはまるっきり無かった痛みが日に何度も身体の中に走る。痛み出すと暫く身動きが取れない。しかし、無為に時を過ごすのは嫌なので、東野圭吾の『魔女と過ごした七日間』を読んでみた。たかが400頁ほどの小説…

あきない世傳金と銀⑬ 大海篇/高田郁

「あきない世傳金と銀」シリーズの最終巻。浅草田原町に江戸新店を開いた呉服屋の五鈴屋が呉服仲間から外され、呉服が扱えなくなったが浅草太物仲間の協力で再び絹織物も扱えるようになった。 数々の試練を乗り越えた五鈴屋は吉原での衣裳競べで、色ではなく…

死してなお/著:矢月秀作

一人の犯罪者の心理を追求していった警官の物語だ。 主人公は、大分県警本部刑事部刑事企画課捜査支援室に配属された三浦賢太郎は、大分県の警察学校での犯罪捜査の中で知った荻谷信について、既決した事件だったが卒配後も心理分析を続けていた。 萩谷を調…

ブラジャーで天下をとった男 ワコール創業者 塚本幸一/著:北康利

これは、女性下着のワコールの創業者の塚本幸一の伝記である。それと塚本を支えた女傑たちと男たちの物語でもある。 私は、ワコールという会社は創業時からずっとブラジャーなどの女性下着を作っている会社だと思っていた。しかし、そうではなかったことを知…

暮鐘 東京湾臨海署安積班/著:今野敏

10篇からなるショートストーリー。 安積剛志強行犯第一係長をリーダーに、村雨係長、須田係長、水野巡査部長、黒木巡査、桜井巡査が、臨海署管内で発生する事件に取り組む。 <目次> 〇公務 働き方改革を上から言われて、どの部署も仕事が停滞する。大幅…

縁切り上等! 離婚弁護士・松岡紬の事件ファイル/新川帆立

鎌倉にある縁切寺として名高い「東衛寺」の住職の娘・松岡紬が主人公。 紬が、子どもの頃、母・時希子は男と駆け落ちをした。相手は、毎年春と夏に、京都からフィールドワークのためにお寺に泊まりにきていた民俗学を研究する男だった。 法科大学院を卒業し…

あきない世傳 金と銀⑫ 出帆篇/著:高田郁

女店主・幸を主人公にした物語の12作目。 支配人の佐助以下8人の奉公人が、店主の幸を支え、一丸となって、「売りたいものを扱うのではなく、お客が買いたいものを売る。売り手も買い手も幸せにする商い。」を目指す。近江商人の「三方よし」と同じ思いで…

あきない世傳 金と銀⑪ 風待ち篇/著:高田郁 

13巻まで続くシリーズもので、②の早瀬篇~⑩の合流篇を体調不良が続き、ブログを書く気が失せている間に読んでしまったので省略する。 幸という少女が、五鈴屋という呉服太物商に女衆として奉公に上がり、から番頭治兵衛利発さを認められ商いの考え方を教え…

鑑識課警察犬係 闇夜に吠ゆ/著:大門剛明

警察犬とハンドラー(犬を調教する人)の物語だ。 警察犬、警備犬、爆発物探知犬、麻薬探知犬、遺体捜査犬、セラピー犬、(ピンチを助ける)救助犬、(生活をサポートする)補助犬など様々な役割で活躍する犬がいる。 警察犬で一番大事な事は、「持来欲(じ…

ecriture新人作家・杉浦李奈の推論Ⅷ 太宰治にグッド・バイ/松岡圭祐

私は太宰治には興味がない、頭は良かったのだろうが、裕福な実家の仕送りを当てにし、女に入り上げ、次から次へと女を替える。この人の作品は純文学と言われているが、暗いというイメージが強く、また、好きな文章表現ではない。 理想の生き方と思う人もいる…

悩め医学生 泣くな研修医⑤/著:中山祐次郎

「泣くな研修医」シリーズの第五弾。 今までのシリーズでは、医師として勤務してからのストーリーばかりだったが、今回は一浪でガールフレンドも作らず努力した結果、見事、国立大学医学部に合格した主人公の雨野隆治の医大生時代の生活を綴った話だった。 …

知ってはいけない2 日本の主権はこうして失われた/著:矢部宏治

この本を読んでいると寂しくなってきた。本当に日本って、この作者が書いているようにどうしようもない国なんだろうか。 日本にはアメリカとの間に日米安全保障条約という、1951年に締結された取り決めがある。一度は改定になったが、未だに70年も前の…

正義の天秤③ 毒樹の果実/大門剛明

コロナのワクチンを5回も打ったのに、初めてコロナに罹ってしまい、10日近く朦朧として過ごしていました。この間6冊ほど本は読みましたが、ブログを書く気力も沸きませんでした。 『正義の天秤』はテレビ番組にもなり、本もシリーズ3作目になります。 …