幼い頃から幽霊や妖怪が見える時町見初が就職した、妖怪や神様が泊まりに来る不思議なホテル「ホテル櫻葉」。女将の永遠子と恋人で陰陽師の家系に生まれた冬緒とが、妖怪や神様や人間が持ち込む様々な悩み事を解決していく物語の13作目。全シリーズ読んでいるが、毎回心が温かくなる。
<目次>
〇第一話 新入り座敷童〇
4人の座敷童がホテル櫻葉に駆け込んできた。新入りの座敷童が乱暴で困っているという相談。新入りは、遊郭で働いていた老女で座敷童というよりも山姥のようだった。
渋々、見初と永遠子が相談に乗ったが、新入りが暴れるには訳があった。
〇第二話 雪の花火〇
神様の祭りの準備物集めの依頼がホテル櫻葉に寄せられた。見初が花火があったらと考えているのを聞いた元神様の柚枝が、花火職人の妖怪を見つけようと天狗の緋菊(あかぎく)に相談した。やっと見つけた花火職人は花火を作らなくなっていた。そこには悲しい物語が隠されていた。柚枝が花火職人の心を溶かし、神様や妖怪たちに幸せをもたらす。
〇第三話 かみなりごろごろ〇
雨が降らなくなった。それは、雨を降らせる雨神や雷神がいなくなっていたからだった。神様にも転勤があり、新任の雷神5号が働きたくないと穴倉で、お菓子ばかり食べていたため、雨神も「働くのを辞~めた」っとバカンスに出かけていた。
見初と狸と狐の妖怪の風来と雷訪が活躍し、雨神と雷神を動かす。
〇第四話 鈴の音〇
暫く逗留が無かった常連客が、娘を初めて連れてやってきた。
夜中になると鈴の音が、山からホテル近くまで下りてきていた。この鈴の音には、父と娘の悲しい思い出が秘められいた。見初は、特定の客に肩入れしすぎると冬緒に叱られつつも常連客の希望を叶えるために動いた。
〇番外編 栗騒動〇
これは完全なオマケ。栗なのかウニなのか、正体の分からない黒い物体。
妖怪や神様が出てくる物語なのに少しも怖い場面が無く、少ししっとりさせ、心もホンワカとさせられた。