Trex70’s blog

特別支援教育士として、障害児の教育相談を2000組近く行い、引退後は、毎年200冊以上の本を分野に関係なく暇に任せて読んでいます。Trexはティラノサウルス・レックスのこと。大好きな恐竜です。

あなたが誰かを殺した/著:東野圭吾

久しぶりに東野圭吾を読んでみた。

警視庁刑事部捜査第一課の加賀恭一郎シリーズの第11作目。

父親の最期を看取った病院の看護師金森登紀子の紹介で、鷲尾春那に長期休暇中だった恭一郎を引き合わせた。

春那はセレブが集う夏の別荘地で連続殺人事件の被害に遭遇していた。

セレブ達は毎年恒例の行事としてバーベキューパーティーを開催していたが、その催しが、思いがけない悲劇の幕開けになった。

参加したのは、総合病院を経営する夫妻と我儘な一人娘とその病院で内科医として勤務している婚約者。大企業の会長とやり手な妻と部下家族。公認会計士の夫と高級美容室を経営する妻と寄宿舎に入れられている中学生の娘。多くの土地を相続し不動産経営をしている40代の魅惑的な未亡人とその姪、弁護士をしている姪の夫。

別荘地を舞台にして、参加したセレブのうち、病院長と大企業の会長夫人と公認会計士と美容室経営の夫婦、弁護士が殺され、内科医が大怪我を負った。

連続殺人事件だったが、犯人が自首してきた。容疑者は、「誰でも良かった」と自白をしたものの、動機を一切語ることはなく、捜査陣は頭を抱えていた。

残された遺族たちは、なぜ家族が殺されないといけなかったのか悩み苦しみ、一堂に集まって情報交換会をすることになった。また、偽名で犯人の妹も参加し、何故兄が犯行に及んだのかを知ろうとしていた。

そこに春那から相談を受けた恭一郎が付き添いとして参加することになり、連続殺人事件の謎の究明に乗り出した。

犯人は財務省の役人を父に持ち大きく期待されていたが、学業もスポーツも芸術も親の期待に沿えず引きこもり状態になっていた。やがて自殺願望を抱くようになり、どうせなら誰かを殺して死刑にと考えるようになり、ネット検索もしていた。

犯人は、なぜ遠く離れた別荘地を選んだのか。なぜ、他の人々でなく、セレブを襲ったのか。なぜ、防犯カメラの存在を把握していたのか。移動手段は何を利用したのか。凶器はどこに行ったのか。なぜ一人だけ、怪我だけで助かったのか。

犯行の時間や動機を解明していくうちに、犯人を手引きしていた共犯者の存在が浮かび上がってきた。

共犯者は、中学生の娘だった。娘は、母親のことを吹聴している大企業の会長夫人を殺していた。

動機も解明でき、共犯者も逮捕出来て事件は終わりに見えたが、最後にもう一人不幸な殺人犯が分かってしまう。

 

東野圭吾は、よく次から次へと人を殺すことを思いつくものだと感心する。

セレブたちの虚栄と虚飾の中に隠された真実。相談する相手もなく孤独を募らせ殺人に走った娘の淋しさと悲しみ。辛いものがある。