Trex70’s blog

特別支援教育士として、障害児の教育相談を2000組近く行い、引退後は、毎年200冊以上の本を分野に関係なく暇に任せて読んでいます。Trexはティラノサウルス・レックスのこと。大好きな恐竜です。

知ってはいけない2 日本の主権はこうして失われた/著:矢部宏治

この本を読んでいると寂しくなってきた。本当に日本って、この作者が書いているようにどうしようもない国なんだろうか。

日本にはアメリカとの間に日米安全保障条約という、1951年に締結された取り決めがある。一度は改定になったが、未だに70年も前の条約が生きているらしい。

これは、第二次大戦を起こして敗戦国となった日本を統治したアメリカが、日本が戦後独立国として復帰する際に、二度と戦争を起こさないようにと縛りをかけたものように思う。しかし、この本を読んでいると、共産主義を排除しアメリカの民主主義を日本に定着させるために、自民党を率いる岸信介アメリカのCIAが多額の政治資金を渡し、その後の池田隼人、佐藤栄作まで、その流れが続いた(アメリカの公文書に記録があるそうだが)。形だけは敗戦後に勝ち取った独立国になったが、実際はアメリカの思うがままに操縦されていたということらしい。

岸信介が藤山愛一郎を使って、アメリカと安保条約を作成し、その後、改定はされたが、日本に駐留する米軍の法的権利は、「日米地位協定」と「日米合同委員会」と「日米安保協議委員会」によって決定されることになっている。ただ、ここでの合意事項はアメリカには残るが、肝心の日本は国民に知られると拙いのかすべて廃棄している。これが公文書としてアメリカで開示可能になったとき、日本では時々騒ぎになっている。この条約があるため、日本に駐留する米軍に対して、日本国内法は適用できない。犯罪を起こしてアメリカに逃げ帰った軍人や軍属は、取り締まることができない。そのため、米軍基地が多い沖縄では、問題となっている。

また、非核3原則があったために、核を積んでいる原子力空母や原子力潜水艦が、日本に寄港したときに、わざわざアメリカに核を置いて日本に来ていると、誰でも分かる嘘を自民党は言い続けることになった。

日本には、外国から攻撃されたらアメリカが助けてくれるという幻想がある。しかし、新安保条約では、「アメリカは日本を防衛する義務はない」「しかし日本の国土を自由に軍事利用する権利を持つ」「日本の基地から自由に出撃し、他国を攻撃する権利を持つ」「戦争になったら、自衛隊を指揮する権利を持つ」「必要であれば日本政府に通告後、核ミサイルを日本国内に配備する権利を持つ」と謳われているらしい。また、アメリカの核の傘に入ることで、米軍の指揮のもとでのあらゆる戦争協力と巨額の武器の購入する(岸田総理は巨額の防衛費の増額を宣言⇒実際はアメリカから要求されると断れないということ)という足枷もあるようだ。

今の日本人は、日本にある米軍基地から、中東や日本近海にジェット戦闘機が爆撃や偵察のために飛んでも違和感を持たないと思う。私もこの本を読んでみて、これはおかしなことだったんだと気が付いた。未だにアメリカに占領されているのと変わらないんだということ。

だから憲法を作り替えようという動きがあるのだろうか。でも、戦争ができるという国になるということは、アメリカの代わりに(お先棒を担いで)戦争に行かされるということになるのではないかと危惧される。