「泣くな研修医」シリーズの第五弾。
今までのシリーズでは、医師として勤務してからのストーリーばかりだったが、今回は一浪でガールフレンドも作らず努力した結果、見事、国立大学医学部に合格した主人公の雨野隆治の医大生時代の生活を綴った話だった。
読んでいて医学部での授業内容が詳しいなと思ったら、作者の中山氏は現役の外科医の作家さんだったことを思い出した。
卒業までの6年間を1年ごとに6つのPartに分けて描いている。
Part 1:誇りと一割
Part 2:ご遺体
Part 3:冷めたご飯
Part 4:スチューデント・ドクター
Part 5:星歌と華歌
Part 6:最終学年
エピローグ
オリエンテーションでは、1割の学生が付いていけなくなると脅される。また、解剖実習では、ご遺体への尊厳を持ちつつ、学ぶ。病院実習では看護師のハードワークと医師として看護師への接し方と思いやりを知る。医師国家試験のミニ版のCBTという公的試験に合格し、晴れて「スチューデント・ドクター」という称号を得、臨床実習を経験する。その時、産婦人科の2週間の実習で新しい命の誕生と、生を受けることができなかった死というもの、母親の喜びと例えようのない悲しみを体験する。
伊佐と指宿と班を組み、ハードな講義や解剖実習や病院実習を経験し、時には骨や筋肉、神経、血管の名称を一緒に学び合うなどし、励ましあい、悩みながら、最後の関門・国家試験に挑む。
第5弾は、雨野の医師としての成長を追うという形で、シリーズの第一弾目に持ってきても良かったのではと勝手な思いを持った。