Trex70’s blog

特別支援教育士として、障害児の教育相談を2000組近く行い、引退後は、毎年200冊以上の本を分野に関係なく暇に任せて読んでいます。Trexはティラノサウルス・レックスのこと。大好きな恐竜です。

心霊探偵八雲11 魂の代償/著:神永学

”あなたは、愛する人のために何を犠牲にしますか”

 

今回は4つの心霊現象による事件が起こる。

1つ目は、八雲の大学の資料館の資料を隣にある倉庫に移しているときに、学生たちが倉庫の地下室にあった封印された棺桶よりも大きな箱を見つける。箱には、<コノ箱 開ケルベカラズ>と刻まれていたにもかかわらず開けてしまう。箱の中には首のない男性の遺体が隠されていた。

地下室の箱を見つけた大学生の一人・安井真紀が幽霊に付きまとわれ、「助けてください」と新聞社にメールを送り、記者の土方真琴が対応し、八雲を頼った。

2つ目は、中本紗奈が自転車で真冬の通学路の川辺の道を通っていた時、水から上がったみたいに髪も服もびしょびしょの裸足の少女に出会った。生きている人間のものとは思えないほど、ひたっ、ひたっと水滴を垂らした青白く、痩せ細った指を伸ばし、「私は、そんなこと、望んでいない」と言いながら近づいてきた。

紗奈の母親の依頼で英心と後藤は紗奈の自宅を訪れると、紗奈は道に立っていた幽霊がどんどん近づいてきて部屋に入ろうとしていると、窓に目張りをし、カーテンを閉め、布団を頭から被り震えていた。

3つ目は、八雲が映画研究会の部室にいるときに一人の若い女性の霊が現れた。「お願い。助けて」と伝えて消えてしまう。八雲のところに現れた女性の幽霊は行方不明になっていた医学部の女性だった。倉庫の近くの林の中で遺体が発見される。遺体は、事故で亡くなった娘を蘇らせようとした人体実験で殺された女性だった。

4つ目は、石井刑事と宮川刑事の勤務する<未解決事件特別捜査室>にある屋敷の近辺で、幽霊が出るという通報が相次いで寄せられる。二人は、現地調査のために元病院だった西洋作りの廃墟に足を運び、そこで石井刑事は少女の幽霊に遭遇した。

石井刑事が調査した廃墟は、妻と娘を逆走するトラック事故で亡くした行方不明になっている元医者の病院だった。現れたのは、今は収監されている木下という医師の人体実験で殺された娘の霊だった。

娘の霊は、美雪にそそのかされた父親の犯行を止めさせてほしいと現れたのだった。

八雲と調査を始めようとした小沢晴香は、拉致されてしまった。

別々の心霊現象のように見えたが、殺人事件と誘拐七瀬美雪と両眼の赤い男・雲海が裏で暗躍していたことがわかってきた。

拉致された晴香は美雪により水門から川に投下され、救出はされたが意識不明のままだった。

 

立て続けに霊が出てくるので、何故霊になったのか、何を告げようとしているのか、それぞれの霊の関係について、分からなくなることもあったが面白かった。晴香はどうなるのか、こんどこそ美雪を捕まえることができるのか、次回作に引っ張った作者は少し憎たらしい。