斉藤八雲は、西多摩にある鍾乳洞の中の岩屋で目を覚ました。そばには血塗れの遺体があり、それは八雲に心霊現象の調査依頼をした誠道という僧侶だった。
もしかして、ぼくがやったのか?と混乱する八雲の前に、紺色のブレザーにチェックの短いスカートを穿いている少女の幽霊が現れ、憎しみ、恨み、妬み、様々な負の感情を凝縮したような眼差しで「死ね。死んで報いろ」と老婆のようなしわがれた声で繰り返した。その少女はいったい何者なのか。
ひとまずその場を離れることにした八雲は、その時、運悪く警官に目撃され、殺人の疑いをかけられ追われることになった。
八雲が逃亡したのは、現場に「彼を殺したのは、あなた。警察に捕まれば、あなたの大切な人が死ぬ」という貼り紙を見つけたからだ。手紙から、八雲の叔父・一心を殺した七瀬美雪が関係していると思われた。
刑事課課長の宮川が石井刑事に、八雲が殺人の容疑で逃亡していると知らせにきた。
石井刑事からの報告を聞いた後藤刑事と小沢晴香は、一心の師匠の英真や記者の真琴とともに八雲を捜索する。
石井は、西多摩署捜査一課の刑事・夏目葉子刑事と捜査にあたった。
八雲はマムシに噛まれ、意識不明になり、小沢晴香のもとに生霊として現れる。
湖の近くで後藤刑事と英真に救出された八雲は、二度も警察に逮捕されそうになったが、警察を辞めるつもりの後藤刑事に救われながら殺人事件の真相を追求する。
幽霊となって現れた少女は、十年前に行方不明になった増岡美波だった。
誠道の息子・戸田山高広、松本浩、内藤洋介たちが、暴行目的で美波を鍾乳洞に拉致し慰み者にしていた。
美波は、妊娠し赤ん坊を産んだ。息子の罪を隠すために誠道に殺され、死体を湖に沈められていた。
松本浩も内藤洋介も誠道と同様にメッタ刺しの状態で死んでいた。それは、殺された美波の復讐のために行われた殺人だった。
犯人は、石井刑事の身近にいた意外な人物で、その犯行は七瀬美雪に唆されての犯行だった。
八雲の祖父は、凛という名の女性と結婚し、両目の赤い男の子が生まれた。男の子の名前は雲海。凛は死者が見えるため、雲海とともに寺を追放された。
祖父は再婚し、娘と一心をもうけた。雲海は異母妹を誘拐し、生まれた子どもが八雲だった。
美雪は、両目の赤い男を慕っていたが、男と八雲の関係は分かっていなかった。