主人公は、警視庁捜査一課に勤務する若手女性刑事・春原瑠衣。中堅ゼネコンに勤務する父親との二人暮らし。朝食は父親お手製のベーコンエッグ。どんな時でも父親のベーコンエッグを食べて出かけるのを楽しみにしていた。
そんな親子の些細な幸せをある事件が奪ってしまう。
都内のホテルで毒物による大量殺人が起こり、瑠衣は所属する宍戸班の一員として参加していた。そこに別件で父親が勤務するゼネコン会社社員の交通事故の話が舞い込んできた。被害にあったのは、父親と同期の資材課の課長だった。初動捜査は、瑠衣と警察学校同期の交通課の女性警官が担当していた。事故か事件かの判断に苦慮していたところへ、経理課の課長が帰宅途中の地下鉄出口の階段からの転落による死亡が報告された。
同じ建設会社の課長二人が時期を対して違わず無くなったことで、事故、殺人事件の両面から捜査するため交通課から捜査一課の瑠衣の班が担当することになった。
土木課課長の父親が、瑠衣に捜査の詳細を訊きだそうとするが、今度は、父親が建築工事中のビルで頭上から重さ3トンの鉄骨が落下し下敷きで亡くなってしまう。
父親は経理課長の葬儀で会長に掴みかからんばかりのトラブルを起こしていたことが亡くなった後で分かった。
3人の課長が相次いで亡くなったことで、警察は殺人事件として捜査を進めるが証拠が集まらない。瑠衣も身内の関係者なので捜査から外されてしまう。
東京地検特捜部が2年前から政治家の絡む贈収賄事件として調査し、また、死亡した3人に裏金作りの疑惑がかかっていることが分かった。
父は会社に利用された挙句、殺されたのではないか。しかし、懸命の捜査にもかかわらず証拠が出ない。些細な幸せを奪われてしまい、疑心にかられる瑠衣の前に元捜査一課で敏腕刑事だった私立探偵鳥海が現れ、驚愕する話を聞かされた。
刑事である瑠衣は、鳥海等とともに私刑執行人(ハングマン)として法では裁けぬ復讐の代行人となる決意をする。執行日はハロウィン(祝祭)。
まさに必殺仕掛け人を絵にかいたような内容で、後半物凄いスピードで話が進む。
贈賄事件と殺人と復讐という悲惨な内容だが、暗さはなく、どうなっていくんだろう、どんな結末になるんだろうと頁が進んだ。続編に期待したい。