主人公の藤田俊雄は大正十三年に東京・目黒に生まれた。実家は、食品等を扱う商店を営んでいたが、手伝うことなく、商業専門学校に通い、繰上げ卒業後、財閥系の鉱山会社に就職した。しかし、成人になったら徴兵され、死ぬことが国から決めれていた運命に夢や希望を持てずにいた。そこへ召集令状が来て、香川県観音寺市豊浜の陸軍船舶特別幹部候補生隊に入隊した。そこは、魚雷を積んでアメリカの軍艦に特攻して死ぬための養成所だった。
運よく終戦を迎え、北千住に疎開していた母と異父兄の貞夫のところに戻る。二人は2坪の借地で洋品店洋秀堂を再開していた。俊雄は手伝うことなく、鉱山会社に復職したが、「生き残った者の責任」という思いがつのって空を飛びたくなり退職し、商人になることを決意した。再び母と異父兄のもとへ戻る。
義兄が亡くなって店を引き継ぎ発展させる。ヨーシュウ堂に社名変更し、さらにフジタヨーシュウ堂に変更し、東証1部に上場させるまでの軌跡が綴られている。
<目次>
第一章 焼け跡
第二章 商人になる
第三章 商人修業
第四章 スーパーマーケット
第五章 アメリカ
第六章 チェーンストア化
第七章 驚異の躍進
第八章 コンビニエンスストア
戦後の流通業界を大きく変えていった物語だ。