「人類は他の生物より、知能が高く、そのために文明を築き成功することができた、と思われている。果たしてそうだろうか。」という生物の進化への疑問と謎に様々な角度から作者が迫る小説だった。
何が正しくって、何が正しくないのか。更科流の解釈で、「小脳」を例にして人によって判断基準が違うことを気づかせてくれる。
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生まれつき小脳が無い人の中には、それと知らずに暮らしている人もいるらしい。何らかの理由で脳をスキャンしたときにたまたま小脳が無いことが分かったという人もいる。そういう人は、運動が苦手だったり言語の習得が遅かったりするようだが、意識や知能については特に変わったことが無いようだ。それは、小脳のニューロンの統合性が低いからだと考えられる。モジュール同士は基本的につながっていない。感覚器などから小脳に信号が入力されると、その信号はあるモジュールの中で処理されて、結果は速やかに小脳から出力される。その間、他のモジュールは関与しない。・・・・・
<目次>
第1部 智慧の実はどこにあったのか
第1章 存在の偉大な連鎖、第2章 樹上生活の始まり、第3章 木の上で知性は育った
第4章 なぜヒトはよく眠るのか、第5章 直立歩行の真実 第6章 個性と淘汰、
第7章 類人猿を迎えて
第2部 進化にとって意識と何か
第8章 不可解な脳、第9章 意識を見つける、第10章 デジタルカメラは生きているか
第11章 ヒトと機械の違い、第12章 進化最大の謎に迫る、第13章 愚か者たちの楽園
1部と2部のつながりが分かりにくい。