Trex70’s blog

特別支援教育士として、障害児の教育相談を2000組近く行い、引退後は、毎年200冊以上の本を分野に関係なく暇に任せて読んでいます。Trexはティラノサウルス・レックスのこと。大好きな恐竜です。

面白くて眠れなくなる人類進化/左巻健男

なぜ、「2本足で歩くのか」「5本指なのか」など進化について面白く書かれている。

人類の進化を考える前に、初期の生物はどんなものだったのだろうか?

単細胞生物、次に多細胞生物、無脊椎動物脊椎動物、両生類から無弓類(カメなど)、単弓類(哺乳類など)、双弓類(爬虫類)へと進化したと考えられている。

哺乳類の出現は恐竜がいた中生代三畳紀白亜紀末に恐竜などの大型爬虫類が絶滅して新生代になったが、哺乳類は生き残り大発展をする。

人類は400万年前に類人猿から枝分かれし、初期猿人、猿人、原人、旧人、新人と進化した。アウストラロピテクスは猿人、ホモ・エレクトス(ピテンカトロプスエレクトス・ジャワ原人)は原人、ネアンデルタール旧人ホモ・サピエンスが新人だ。

ホモサピエンスの出現は、20万年前と言われている。

日本人のルーツの縄文人弥生人について分かりやすかった。

 

 

 

タングル/著:真山仁

技術開発、政府の科研費新興国など面白い内容だった。

この小説のタイトル『タングル』とは、「もつれる」ということ。技術開発の最先端にスポットを当ててつつ、タイトルの通りにストーリーが縺れながら展開される。

スパコンをはるかに凌ぐ低消費電力と高速計算を両立させる量子コンピューターの実現に向けて、さまざまな方法が模索されている。

この小説では光量子コンピューターの開発にスポットを当てている。

日本政府が大企業などの様々なしがらみで予算を縮小していくため研究の先行きが見えなくなり、早乙女教授は研究費を潤沢に提供してもらえるシンガポールと共同開発を行うことになった。元通産審議官にして日本産業振興の裏業師や凄腕商社マン、シンガポールの若手プロジェクトリーダーや若手政治家を巻き込んで行き、日本政府もシンガポール政府も見守る円満な形の結末になる。 

 

 

ライオンのおやつ/著:小川糸

NHKでもドラマ化された作品。

主人公は、両親を事故で無くした雫。読んでいて、悲しくって、切なくって涙が出た。

一人で暮らしていた雫は、ある日医師からステージⅣの癌で余命宣告を受け、男手ひとつで育ててくれた(義)父(母の双子の弟)にも告げず、最後の日々を過ごす場所として、瀬戸内の島にあるホスピスを選んだ。

穏やかな島の景色の中で本当にしたかったことを考える。ホスピスでは、毎週日曜日、入居者が生きている間にもう一度食べたい思い出のおやつをリクエストできる「おやつの時間」がある。生きることに悩む、雫には中々、リクエストが思い浮かばなかった。

いつか訪れる死。葛藤や運命を受け入れていき、命が尽きるまで精一杯人生を全うする。生きることの素晴らしさを改めて感じさせる物語だった。

 

 

ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢~/著:三上延

ビブリア・・・・・「本を愛する人」という意味があるようですが、作者の意図は分からない。

今作品で篠川栞子から娘の扉子にバトンタッチされ、2002年から始まって10冊目の「ビブリア古書堂の事件手貼」シリーズになる。よくある本の紹介を兼ねた読書の勧め的な本の紹介ではなく毎シリーズ「読んでみようかな」「こんな本があるのか」という思いを抱かせる。

舞台は、北鎌倉にあるビブリア古書堂という古書店古書店主に持ち込まれる古書に纏わる相談から事件が始まる。

ある古書店の跡取り息子が亡くなり、残された蔵書の相続をめぐって、篠川千恵子、栞子、扉子、大輔、祖父と高校生になる孫と元妻(母親)の間で展開される。今回は、夢野久作の『ドグラ・マグラ』という本にまつわる話だった。(『ドグラ・マグラ』は精神病院に入院している患者の話で始まる本だが、読むと頭がおかしくなると言われている。)

<目次>

プロローグ・五日前 

初日・映画パンフレット『怪獣島の決戦、ゴジラの息子』 

間章一・五日前 

二日目・樋口一葉『通俗書簡文』 

間章二・半年前 

最終日・夢野久作ドグラ・マグラ』 

エピローグ・一ケ月後

 

 

 

恐竜探偵 足の跡を追え 糞、嘔吐物、巣穴、卵の化石から/アンソニー・J・マーティン

恐竜の足跡は、南極大陸をのぞく全ての大陸で毎年発見されている。生物の足跡、巣穴、糞、嘔吐物といった行動の痕跡が残された化石を生痕化石という。恐竜は子どもを産みっぱなしと考えられていたが巣の発見により、鳥類と同様に様々な子育ての違いがあることが分かった。生痕化石から恐竜の生態とその謎を追う興味深い。古生物学者の解説が面白い。

<目次>

第一章 恐竜を追う 

第二章 この足は歩き、走り、すわり、泳ぎ、群れをなし、狩りをするために作られた

第三章 ラーク採石場の謎

第四章 恐竜の巣と子育て 

第五章 地下にもぐる恐竜 

第六章 折れた骨、歯型、歯に残された痕跡 

第七章 なぜ恐竜は石を食べるのか 

第八章 当時の名残ー恐竜の吐物、胃の内容物、糞、その他、虫の知らせ 

第九章 壮大な白亜紀を歩く

第十章 私たちの中に恐竜の足跡を辿る 

第十一章 恐竜の景観と進化の足跡 

訳者あとがき 恐竜の足跡は日本でも

 

 

 

 

再雇用警察官5 究極の完全犯罪/著:姉小路祐

大阪府警が「再雇用警察官制度」を開始したにより、雇用延長警察官として大阪府警生活安全部消息対応室でとして巡査部長待遇勤務を続けることになった安治川信繁が主人公で、室長の芝隆之と巡査長の新月良美と一緒に三つの完全犯罪に挑む話。

消息対応室が取扱う事案は、①「一般行方不明者(自発的な家出、借金の取り立てからの夜逃げ、家庭内不和からの逃避などの犯罪が絡んでいない失踪)」と②「特異行方不明者(拉致・監禁・誘拐といった犯罪が関わっている失踪)」の行方不明届の内、犯罪に関わっている②「特異行方不明者」を担当している。

第一話:唯一の証明会社経緯者の朝霧は旅先で妻の弥生を亡くし、次の日に現地で荼毘に付した。大手新聞社に勤める弥生の姉が妹の死の真相を調べて欲しいと動かない警察に対し、行方不明者届を提出したことから話が展開される。

第二話:二度の死亡

17ページの前置きの後に、娘が行方不明になっていると上尾浩子からの相談を受け、安治川が個人的に調査していくうちに、行方不明者届の提出を促し話が展開される。

第三話:第三の判定

娘が失踪する理由が無いと行方不明者届を出しにきた辻千鶴の話から始まる。

 

特に第三話が、予測のつかない結末になり面白い。

 

 

ゾンビ3.0/石川智健

最初、「ゾンビ3.0」の「3.0」って何の事だろうと思った。ゾンビは、墓から這い出したり、死者が蘇って人間を噛んだり襲ったりするものだ。

”ゾンビ1.0”・・・超自然現象や呪術や魔法的なもの

”ゾンビ2.0”・・・ウイルス説や細菌説

”ゾンビ3.0”・・・”ゾンビ1.0”でも”ゾンビ2.0”でもないもの 

から題名がつけられている。

この小説では、「モジホコリ」(粘菌)が引き金となっている。

「細菌」と「真菌」の違いは、

細菌には核膜が無く、染色体は1つ、小胞体・ミトコンドリアも無い。また、真菌には核膜があり、染色体は複数、小胞体・ミトコンドリアには有る。

モジホコリは、単細胞なのに口や目、脳が無いにもかかわらず物事を記憶し、簡単な問題を解くことができ、迷路の最短距離を発見したり、環境の変化を予測できるらしい。

前置きが長かったけれど、世界の紛争地帯で突然ゾンビが現れ世界中に拡がり、警察や軍隊では対処できず、どうなっていくんだろうと思わせる話が続く。世界人口の20億人が感染し亡くなってしまう。

予防感染研究所の香月・下村・加瀬・城田によって、原因が特定でき収束に向かう。

作者の石川氏よく調べてるなぁと感心しました。面白けれど読み疲れた。