「初陣 隠蔽捜査3.5」「自覚 隠蔽捜査5.5」に続く「隠蔽捜査」シリーズのスピンオフ短編集第三弾。
主人公の竜崎伸也は、警察庁長官官房総務課長をしていたが息子邦彦の覚醒剤所持事件で大森警察署に左遷されていた。署長として大森署に勤務する間に必要とあれば、キャリアとか地方(じかた)の壁に拘らない、警察の縦組織にも拘らない、竜崎独特の人心掌握術とリーダーシップで、署員と次々と事件を解決してきた。
本作では竜崎が大森署を去り、神奈川県警に刑事部長として異動したところから、大森署の課長や竜崎の家族等の脇役たちの視点で描かれている。
<目次>
〇 空席 ・・・・竜崎が異動になり、新署長不在の時に大森署管内で起こった事件
〇 内助 ・・・・大田署管内で起こった放火殺人事件に妻冴子の助言
〇 荷物 ・・・・息子邦彦が預かった白い粉
〇 選択 ・・・・娘美紀が痴漢事件に巻き込まれた
〇 専門官・・・・神奈川県警刑事部長竜崎と捜査1課矢坂
〇 参事官・・・・阿久津参事官と平田参事官の喧嘩
〇 審議官・・・・NCIS特別捜査官の捜査協力に対する長瀬審議官の拘り
〇 非違 ・・・・美人署長と野間崎管理官と戸高
〇 信号 ・・・・キャリア会の飲み会での不用意な発言
「タテマエと本音」を使い分ける社会で、警察官僚としての生きるべき道として「タテマエ」を貫き通す竜崎の考え方に心惹かれる。