Trex70’s blog

特別支援教育士として、障害児の教育相談を2000組近く行い、引退後は、毎年200冊以上の本を分野に関係なく暇に任せて読んでいます。Trexはティラノサウルス・レックスのこと。大好きな恐竜です。

四日間家族/著:川瀬七緒

川瀬七緒の本は全て読んでいるつもりだったが、今回の作品は少し今までとは毛色が違う内容で最初戸惑った。

いきなり、自殺サイトで集まった草臥れたおっさんと年齢不相応の派手な服装の老女と高校生の少年と私が携帯の電波も届かない山の中に止めたワンボックスカーの中で揉める話から始まった。これは重たい話だぞと思っていたら、赤い車で乗り付けて鬼のような形相でリュックを背負い、真っ暗な林の中にはいいって行ったかと思う間もなく、手ぶらで戻り、そのまま車で引き帰していった女が現れ、物語が走り出した。自殺するはずの4人がその女の様子を見て、おかしいと思っていると赤ん坊の泣き声が聞こえ、自殺を中止し、赤ん坊を助けてしまう。警察に赤ん坊をどうやって届けようかと相談しているうちにSNSに赤ん坊を誘拐されという別の女の動画が流れた。誘拐犯に仕立てられ、事件に巻き込まれてしまう。

草臥れたおっさんは会社が倒産し闇金から金を借り返済不能になった長谷部康夫。派手な老女は、複数の老人を騙し世間を騒がせた寺内千代子。少年は、エリート自衛官の家庭で育ちボーイスカウトでも富士賞を授与したが事故で本人は片目の視力を亡くし、自分より落ちると思っていた友人が自分を助けようとして首から下が動かなくなり、罪の意識を感じ死のうと思った丹波陸斗。私は、行く先々で人を騙し、挙句ヤクザに追いかけられている坂崎夏美。

警察に見つからず、ヤクザにも見つからず、SNSに投稿されないよう、逃げ惑いながらも赤ん坊を遺棄した犯罪組織を見つけ摘発するために4人が知恵を絞って行動する。しかし、どこに行っても、責任感のないSNSに投稿しようとする人がいて、見張られているようで気が休まる暇がない。

唯一の手掛かりの隠し撮りした赤ん坊を捨てにきた女の画像をSNSに投稿し、反撃を開始する。

犯罪組織は、赤ん坊を救済するNPOだった。しかし実態は、赤ん坊の人身売買と臓器提供というトンデモないところだった。

4人は赤ん坊を助け、命懸けで犯罪組織と追いかけてきたヤクザも摘発する。

自殺、命、生きることの意味を考えさせるストーリーだった。最後は、3人の陸斗に対する思いやりに泣いてしまった。