1990年に発表された「東京下町暮色」をリライトした作品だった。
中学一年の八木沢順は、刑事である父親・道雄が離婚したため、東京の下町で暮らすことになった。家政婦のハナさんを雇い、三人での暮らしも慣れてきたころに、川岸でバラバラ死体の一部が流れ着いた。
ちょうど、学校や地域で、若い女性が入っていたまま出てこない家があるという奇妙な噂がたっていたことも重なり、町が騒然とする。そこへ順の家に、真犯人を知らせる手紙が届く。刑事の子の順と友人の慎吾が捜査に乗り出すことになる。
噂の家は、日本画家の篠田東吾の家で、喧嘩東吾と異名のある偏屈と言われてる老人が住んでいた。
少年は、罪を犯しても少年法により、名前も公表されず、刑も軽くすむことがあり、バラバラ殺人事件の伏線として敷かれている。しかし、サイコパスではないが、人を殺しても少年法があるので重い罪にはならない、大変なことをしてしまったと反省もしないような考え方をする人間が実際にいるかもしれないと思ったらゾッとする。
親子の絆と家庭環境の大切さを考えさせられた。
順の父親は捜査1課の刑事
穏な下町の昼下がりに川岸で発見されたバラバラ死体。そして捜査陣を挑発するかのように送られてくる犯行声明。事件が混迷の度合いを深めていくその頃,主人公が住む町内では”ある家で人殺しがあった”という噂で持ちきりだった。事件を担当する刑事である父と,噂を調べていく内に事件に巻き込まれていく主人公の少年を通して,親子の絆と現代社会の奇怪な深淵を爽やかに描いた長編ミステリ