前漢末から、後漢初(紀元前14年~)にかけて、時代を駆け抜けた人物の馬援(ばえん)について書かれた小説です。
宮城谷さんの小説を何冊も連続して読み続けて入れば違和感がないのですが、久しぶりに読むと人物設定や時代背景などを書いていて、「あぁ、めんどくさい。読むのをやめようかな」と思わせます。しかし、我慢して読み続けていると主人公の馬援の生き様に共鳴し、3~4時間はすぐに経ってしまいます。
冷遇されていた馬一族に日が当たりだし、馬援自身も郡の督郵(囚人の護送)の仕事についていたところを護送した冤罪で哀れに思い逃がしたところから話が面白くなっていきます。そのため、自らも逃亡することになり北方で畜産を始めます。人にも牛馬にも思いやりを持って接していく馬援に途が開けていき、光武帝(劉秀)と出逢い、新王朝の樹立に将軍として活躍します。