Trex70’s blog

特別支援教育士として、障害児の教育相談を2000組近く行い、引退後は、毎年200冊以上の本を分野に関係なく暇に任せて読んでいます。Trexはティラノサウルス・レックスのこと。大好きな恐竜です。

神様の御用人/著:浅葉なつ

10巻まであるシリーズの第1巻。

人間味あふれるさまざまな神様が登場し、その都度主人公が振り回される。毎シリーズ面白い。

古代史や古事記日本書紀、民話が取り入れられたストーリーで、毎シリーズ面白い。

祖父が亡くなり、勤めていた会社も辞め、アルバイトをノラリクラリとしているフリーターの萩原良彦が、街で餅をのどに詰まらせて苦しんでいる一人の老人を助けた。

老人は1年前に亡くなった祖父の知り合いだと言い、1冊の朱印帳を渡される。その朱印帳に浮かび上がった「方位神」の意味を調べるために権禰宜をしている高校時代からの友人のアドバイスで、「方位神」探しに神社を訪れた。

そこで出会った「方位神」の「狐神(黄金様)」に命じられ、突然祖父がしていた「神様のご用人」の代理をすることになり、狐神の黄金とともに八百万の神々のもとを訪れて御用を聞くはめになってしまう。

特殊な力もない、不思議な道具も持ってない、信仰心もなかった、ごく普通の“人間”が神様にできることはあるのか。助っ人なのか単なる使いっぱしりになるのか。

神様の願いは、日本の人の子が再び神祭りに目覚め、神に畏怖と敬いを持つように取り計らうことなど「秘めたる願い」。

一言主大神(ひとことぬしのおおかみ)、大神霊竜王/別名:橋姫(おおみたまりゅうおう)、大年神(別名:歳年神)が登場する。

<目次>

第1章: キツネと抹茶パフェ

第2章: 名言スランプ

第3章: 竜神の恋 

第4章:ゆく年くる年

 

 

 

神様の棲む診療所/著:竹村優希

これは、主人公の比嘉篤と謎の青年・宮城獅童によるファンタジー小説だ。

東京の大学病院で勤務していた篤が、父親の診療所を継ぐために8年ぶりに沖縄に渋々帰ってきた。

比嘉家には、診療所のお医者さんだけでなく、もう一つ役割があった。それは、神様や精霊たちとの橋渡し、御用聞きです。しかし、篤は現実主義者で精霊や神様も一切信じておらず、沖縄に伝わる信仰や伝説も馬鹿にしていた。

診療所に入り浸っていた謎の青年・宮城獅童は、宮城神社のシーサーの化身だった。

その2人のもとに不思議な人たち(実は精霊や神様)が訪れてくる。

神様はヒトが創ったもの。人々の信仰が創り出したもの。信仰が薄れてくると神様の存在自体も希薄になっていくというのが不思議な考え方でもあり、面白い。

精霊や神様との交流を描いた心がフワッと温まるような物語だった。

 

<目次>

第1章 ガジュマルに棲む精霊

第2章 ヤシチガミのお見舞い

第3章 宮城神社の守り神

 

 

 

荒くれ漁師をたばねる力/著:坪内知佳 朝日新聞出版

これは、テレビで「ファースト ペンギン」として放送される前に出合った本で、24歳のシングルマザーが漁師を相手に奮闘した作者自身の実際の話。

息子を連れて訪れた山口県萩大島の漁港で偶然知り会った漁師たちとの話で、漁業が斜陽産業になってきているのを知る。そこで漁師から「何か新しくできることを考えてくれ」とわずかなお金を託され、漁業が安定した利益を上げ存続し、日本の水産業を明るくするためにと漁師未経験のシングルマザーが様々なことにチャレンジしていく。女だからと馬鹿にされてはいけないと負けん気を起こし、本気で漁師たちと喧嘩もする。

「六次産業化法」の国の認定事業者第一号になる。

会社も起こし、これからどう発展していくのかというところで物語は終わるが、若いのに素晴らしい女性だと思った。読んでいてワクワクもし感動もした。

 

<目次>

第1章「社長になってくれ」と頼まれて

第2章 荒くれ者達との闘い

第3章 漁師たちの反乱

第4章 心をたばねる

第5章 強く、熱い風になる

第6章 命を輝かせて働くということ

 

 

 

 

樹林の罠 道警・大通警察署/著:佐々木譲

北海道警察シリーズ10。今回も大通警察署刑事課の佐伯宏一と新宮昌樹と生活安全課少年係の小島百合と機動捜査隊の津久井卓と滝本浩樹の5人が事件を解決する。

小島百合のもとへ父親を捜しに旭川から札幌へ出てきた9歳の女の子の保護から話が展開される。また、ひき逃げの通報を受けた津久井は事故ではなく事件の可能性があることを現場で知る。並行して、佐伯のもとに弁護士事務所荒らしの事案が舞い込む。

それぞれ別々の事件が一つにつながり、大掛かりな詐欺と殺人事件と隠された犯罪を炙り出していく。

組織にたてついて干されたにも関わらず、警察官としての矜持を失わず、刑事の意地を見せる佐伯とそんな彼に共鳴し行動する4名の活躍に心驚かされている。

 

 

 

機械仕掛けの太陽/著:知念実希人

これは、2020年から未だに終わりが見えない新型ウイルス(コロナ)、未知の病原菌と戦う医師と看護師の医療現場を綴った物語だ。作者自身が医師ということもあり非常にわかりやすく現場の医療について書かれていると思います。

大学病院で呼吸器内科医として勤務するシングルマザーの椎名梓。4歳の息子と母親(祖母)と暮らしていたが、自ら志願してコロナ病棟の担当となり、我が子と母親への感染を避けるために一人ホテル暮らしを始める。また、看護師の硲瑠璃子もコロナ病棟の担当になり寮暮らしとなる。また、70代で引退を考えていた町医者の長峰邦昭のもとに発熱患者が押しかけ、コロナに対応せざるを得なくなってくる。

コロナ患者に対して命を賭すほどに懸命に取り組む椎名医師や硲看護師、長峰医師に対して世間の偏見や中傷、暴力に立ち向かう姿に感銘を受けた。

未だにコロナは収束の目途も見えませんが、医療現場の皆さんには感謝が絶えない。

 

 

 

 

 

ネアンデルタール/著:レベッカ・ウラッグ・サイクス 筑摩書房

ネアンデルタール人は、80万年前(もしかしたらもっと前)から4万年前まで生きていたと推測されている。

身長は、ほぼ現代人と同じか少し大きく、脳は現代人よりも少し大きくて1600㎤あったと考えられている(もしかしたら、現代人よりも賢かったのかもわしれない。)

気候変動の所為なのか、それとも何らかの病原菌の所為なのか分からないが、なぜか絶滅したように姿を消している。しかし、DNAを調べると欧米人に引き継がれていることが分かってきている。つまり、ホモ・サピエンスネアンデルタールが交配していたということだ。道具や衣服を作り、海を渡るための舟も作っていた。

人食いを行っていたかどうかは判然としていないが(ホモ・サピエンスも人食いをしていたらしい)、食していた動物の骨に交じって綺麗に解体されたネアンデルタール人の骨が多数見つかっている。また、骨髄を食べたのか抜き取られた骨も発見されている。

古代について興味のある人だけでなく、人類の歴史にも興味のある人にも面白いかもしれない。

 

【目次】
序章 

第1章 最初の顔

第2章 川が木を倒す

第3章 成長する体

第4章 息づく体

第5章 氷と火

第6章 岩石は残る

第7章 物の世界

第8章 食べて生きる

第9章 ネアンデルタール人の住居

第10章 あの土地へ

第11章 美しい物

第12章 内なる心

第13章 さまざまな死に方

第14章 血の中のタイムトラベラー

第15章 結末

第16章 不滅の家族

エピローグ

 

 

 

越境刑事/著:中山七里

千葉県警の”アマゾネス”と異名持つ高頭冴子シリーズの第二弾。

留学生の不審死や失踪が相次いでいると噂を耳にしたアマゾネスは、中国公安部が絡んでいることをつかみ捜査に乗り出す。

保護を求めていた中国人も失踪した。事件の真相を暴くためにアマゾネスと部下の郡山がたった二人で捜査権のない中国の新疆ウイグル自治区に渡る。そこでアマゾネスは捕らわれウイグル民族が置かれていた恐るべき状況と同じ仕打ち受ける。

何とか救助され犯人も引き連れ、日本に戻れるのだが、・・・・・。

ここまで書いて、中山さん大丈夫なのかなと心配させる小説だった。